先々週のこと。
物置に立てかけたベニヤ板に、
羽化の途中で力尽きた蝉がいた。
まだ少し動いていたが、あっという間に蟻の餌食になった。
最後までふんばれなかったのは、この暑さのせいか。
近頃ようやく、うちの庭でも、蝉がやかましく鳴きはじめた。
今年は熱中症のニュースが多い。
太陽のギラギラ、湿度の高さ、
街ゆく人たちの姿をみると、まるでバンコクみたいだ。
乾季のバンガロールより暑さ、不快さは上じゃないかしら。
インドならば、一番暑い日中の時間帯に
すきこのんで外出するなんてありえない。
おてんとさまが頭の上にあるような時間は
家でおとなしく昼ご飯、木陰でのんびり昼寝だろう。
アーンドラ・プラデーシュ州の田舎村にいたとき、
乾季は50度以上のとんでもない暑さだった。
町が動き始めるのは、日が暮れはじめたころから。
昼間はすっぱい青マンゴーをかじって、
じっと日陰で息を潜めていたもんだ。
東京はアスファルトとコンクリート、
ビルの照り返しもすさまじく、
地表近くの空気は50度に近い。
こないた神保町にいったら、蜃気楼が立ちそうな往来で、
ベビーカー片手、スタンプラリーに行列する親子連れがズラリ。
日本ではすっかりベビーカーが当たり前になったが、
あれって本当に必要なのだろうか。ときどきよく分からなくなる。
バックで持ち運びされる小犬同様、
ジリジリうだる道路を行くベビーカーをみるたびに、
あれは子どもへの虐待では…という気がする。
暑い日は家や木陰、すこしでも涼しいところにじっとしている。
雨の日、雨やどりをするように。すぎさるまで、じっと、待っている。
夕時、ちょっと涼しくなって散歩にいくと、夕焼け空の色にはっとさせられる。
日本の夕焼けと、赤道に近いところの夕焼けは色がまったく違う。
いま日本は、熱帯のような暑さだが、この気温や太陽の強さにあわせた
暮らし方、楽しみ方もきっとあるはず。
日本人がインドから学ぶことは、こんなところにもある。
スパイスをきかせたマッジゲ(バターミルク)や、
塩味のライムジュースが妙にうまい。さすがに青マンゴーはないけれど。
梅干しをかじって、熱いほうじ茶をやるのも悪くない。
今夜もヤモリは高らかにケッケッケッと鳴いている。



























