本をつくる vol.1 川内有緒編

2019年9月23日(祝)

WS 10:00~/トーク 14:00~

奈良県立図書情報館

奈良県奈良市大安寺西1丁目1000

1F交流ホール

参加無料

問:奈良県立図書情報館 TEL0742-34-2111

※参加予約はWEB、FAX、来館にて受付中。

斜め上をいくユニークな取り組みで注目されている奈良県立図書情報館で、またしてもおもしろいイベントシリーズがスタートします。その名もズバリ「本をつくる」。本がつくられる過程を見たり聞いたり触れたり、市民の人たちを巻き込みつつ、一冊の本をつくってみようという試みです。

第一回のゲストスピーカーは、『空をゆく巨人』(集英社)で昨年の開高健ノンフィクション賞を受賞されたノンフィクション作家の川内有緒さん。彼女がいま書いている新作は、全盲の美術鑑賞者である白鳥健二さんと全国津々浦々の美術展を歩き、語りあうというもの。
そこでみんなで奈良の仏像を鑑賞する午前の部と、それを元にこの新作本の企画会議を公開で行う午後の部の二本立てでイベントを開いて、この新しい本にみんなで巻き込まれてしまいましょう、ということになりました。

これまで川内さんの本を何冊か装丁しているし、白鳥さんと川内さんともに美術展をまわっている佐藤さんは、ついこないだワークショップでお世話になった水戸芸術館の学芸員さんなので、どさくさに紛れて(?)、ぼくも登壇することになりました。

子どものころから、いつか目が見えなくなる、という確信を抱いているぼくとしては、白鳥さんからどんなお話が聴けるのか、楽しみでなりません。「見えない人が見ること」と、「本をデザインすること」は、いろんな部分で共通してるんじゃないか。そんな予感がしています。

ワークショップの方は早々に満員になってしまったようですが、トークはどーんと余裕あると思いますので、関西の方はぜひおでかけください。

追記◎今回の登壇者のひとりで白鳥さんのことがハフィントンポストで記事になっています。
「全盲で美術館を楽しむ白鳥さん。「見えないから大変」の言葉がしっくりこない」
文章は川内有緒さん。これを読むと「見えない人」と「見える人」が一緒に美術鑑賞することの面白さが少し分かると思います。


ワークショップ
9:30集合/10:00~12:00 興福寺国宝館で、視覚障害者の白鳥さんと一緒に仏像などを鑑賞しながら、みんなで語り合います 。9:30に国宝館前に集合します。(定員8名)

クロストーク
13:00開場/14:00~16:00 白鳥建二さん、佐藤麻衣子さん、そして川内有緒さんとその著作を含めて多数の装丁もしてきた矢萩多聞さんで、本づくりの面白さや次回作執筆の舞台裏を語ります。
奈良県立図書情報館 1F交流ホール(定員150名)


川内有緒 ario kawauchi
ノンフィクション作家 米国の企業やシンクタンク、フランスの国連機関などに勤務し、国際協力分野で12年間働く。2010年からはフリーライターとして評伝、旅行記、エッセイなどを執筆。自分らしく生きること、誕生と死、アートや音楽などの「人生の表現活動」が主なテーマ。著作は『パリでメシを食う。』(幻冬舎)ほか。『バウルを探して 地球の片隅に伝わる秘密の歌』(幻冬舎)で新田次郎文学賞、『空をゆく巨人』(集英社)で第16回開高健ノンフィクション賞を受賞。現在は子育てをしながら、執筆や旅を続けている。趣味は美術鑑賞とDIY小屋づくり。また2坪のギャラリー「山小屋」(東京)を運営している。

白鳥建二 kenji shiratori
全盲の美術鑑賞者 生まれつき強度の弱視で、9才の頃からほぼ全盲。26才のころに絵画や美術の鑑賞に関心を持ちはじめ、単独で美術館へ行くようになり、様々な人と会話をしながら作品鑑賞をする独自の活動を始める。その後、視覚に障害のある人とない人が一緒に鑑賞するワークショップなどに関わるようになり、現在で20年ほど。「見ること」、「感じること」、「伝え合うこと」など、鑑賞や日常に直結するような、基本的な問いを発信している。現在までに水戸芸術館現代美術センターをはじめとし、様々な美術館でワークショップを行ってきた。

佐藤麻衣子 maiko sato
水戸芸術館現代美術センター教育プログラムコーディネーター 高校生の頃に現代美術に出会い、アート作品やアーティストの考え方の多様さに救われた経験から、展覧会やギャラリーなどでボランティアを始める。大学卒業後は多摩美術大学校友会にてアーティストの出張ワークショップのコーディネーター、国家公務員を経て、現在の仕事に就く。水戸芸術館では、美術を苦手とする人でも楽しめるワークショップや鑑賞プログラムを企画。発達障害の子どもと家族を対象にしたワークショップや茨城朝鮮学校への出張ワークショップ、小中学生向けの展覧会鑑賞プログラム「あーとバス」などを実施。

矢萩多聞 tamon yahagi
画家・装丁家 1980年横浜生まれ。9歳から、毎年インド・ネパールを旅する。中学1年生で学校を辞め、ペンによる細密画を描きはじめる。1995年から南インドと日本を半年ごとに往復し暮らし個展を開催。2002年から本づくりにかかわり、これまでに500冊を超える本をてがける。2012年、京都に移住。インド、京都を行き来し、本づくりと画業、ワークショップなど多岐に渡って活動している。著書に『偶然の装丁家』(晶文社)、『たもんのインドだもん』(ミシマ社)、『本の縁側』(春風社)、共著に『タラブックス』(玄光社)、『本を贈る』(三輪舎)などがある。